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静かな部屋に鳴り響く…

朝食の時間を告げる鐘の音。




『…ごめんなさい、お願いをしようと思って話し始めた事から…脱線し過ぎてしまいましたね。』
 
『……本日もきっと気持ちの良い…綺麗な晴天なのでしょう。』





朝からこのような、暗い話をするつもりはなかった

やはり話さなければと…今更後悔しても遅いが

行き場のない気持ちを、誰かに聞いて欲しかった。


ただ、それだけであった。





「……………。」

『…やめましょう。このような話は…彼を探し出すのは、きっと無謀…「…ええで。」』






彼は、自分の話を途中で切りながら近付く足音

自分の目の前で止まり、優しく自分の腕を掴む。




震える自分の手を彼の顔に…

頬から彼の瞑る"目"にゆっくりと私の指を導く。



突然の事に、驚きも何も飛んで行ってしまったようだ。



私の指は今、確実に彼の瞑る目に触れている。

決して爪が当たらないよう、細心の注意を払って…





「……Aは、ずっと探しとるんやろ?その"一目惚れ"した人を。」

「叶えたい、"大切な夢"なんやろ?」




何故だろうか…


彼の優しさの中に見えた、微かな声の震え。

自分の手を掴む手も、微かに震えている。






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「…ええで、叶えたる。」

「俺が代わって、今日から君の"目"になって一緒に探したるわ。」



「Aの言う、その"一目惚れ"した人を。」






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目の前に立つ彼は今、

どのような表情を浮かべているのだろうか。


覚悟?不安?…それとも希望?…わからない

私は、彼の顔さえも見る事も知る事も出来ない。






『ゾムさん、泣いているのですか?』

「…んな訳あるか。世界中の中からたった1人を探すと言う…スケールの広さに汗が出てきたんや。」





…彼は、優しすぎる。


彼の優しさに触れる度に感じるのだ

私の探す"彼"に感じた、確かな胸の暖かさを。




でも、貴方が私の"目"となるのであれば

もしかしたら、見つける事が出来るかもしれないと。






「この戦争が終わったら、俺が連れてったる。」

「遠い山でも、国でも…"海"も全部や。」



「俺が、Aに沢山の世界を見せたるよ。」






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HiNaTa/ひなた - あれ?目からバブルのたきが〜))…うわーンあ一わ一んうえ−ん (3月31日 8時) (レス) @page44 id: 46cf81a59e (このIDを非表示/違反報告)
さくさく日記(プロフ) - 初めましてさくさく日記と申します。完結おめでとうございます。今日こちらの作品を見つけまして最後まで通しで閲覧させて頂きました。物語の構成もですがそれぞれの人物の心理描写や流れがとても素敵で泣いてしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました。 (3月21日 22時) (レス) @page44 id: fce70f8179 (このIDを非表示/違反報告)
あずは(プロフ) - 号泣してしまいました😭素敵すぎます、!! (3月17日 22時) (レス) @page44 id: 0a871c975d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:riyana | 作成日時:2024年2月29日 19時

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