検索窓
今日:28 hit、昨日:15 hit、合計:40,734 hit

・・・ ページ16

.



「すまんな、本当はもう少し…遠い所に連れて行きたかったんやけど…。」

「今日だけは、絶対に遅刻できへんから…!すまん!」



場所は、行き慣れた館外の屋上。


彼はそう話すと、背中に乗せた自分が

降りる際に体勢を崩さないよう、細心の注意を払い

ゆっくりと身体を下げる。




『…いえ、何故貴方が謝るのですか。』

『寧ろ…お忙しい中、私の為に時間を割いてまで、本当にありがとうございます。』





振り返ればこれまでゾムさんと、沢山の所へ足を運んだ

たった1ヶ月の間であったが、全ては…

自分の探す"彼"を見つける為に。





"一面に花が咲き誇る花畑"

"人々の活気で賑わう城下町"

"自分達の住む街が、全て見渡せる高台"





今日まで、彼の見せてくれた全ての景色はきっと

何処も綺麗で、鮮やかで…

きっと全てが"美しい場所"なのだろう。





「結局、俺は…この1ヶ月では見つけられんかったな。」

「Aの言う、"一目惚れ"した人の事を。」





当然の話だ、この世界は何処まで続き

多くの国々が存在し…

一体どれ程、沢山の人々が暮らしているのか。



それでも、彼は私の為に…

無謀である話を、馬鹿にする事も笑いもせず

諦める事のできなかった、こんな下らない夢の為に。






「……なぁ…もう一度、聞いてもええか。」

「Aの夢を…叶えたい"大切な夢"を。」





改めて彼が何故、夢を聞くのかは分からない。

だが、いつになく感じる静寂と緊迫した空気に

自分は胸をギュッとおさえ…ゆっくりと口を開く





『…私は…っ、ずっと探しています。』

『幼い頃に出会った、"一目惚れ"した人を。』

『彼ともう一度会う為に、私は彼の知る"海"へ行きたいです。』





屋上の強く吹く風は、まるで幼い時に感じた

反射的に目を閉じざる得ない程であった。



自分の言葉を聞いた彼は…風の止む静寂の中で

小さく息を吐き…







「A、俺は……」


「この国の為に、そしてAに…俺の知る"海"の景色を見せる。その夢を叶える為に…」






.






.







.







__戦う為に明日、戦地へ行く。__






.

・・・→←・・・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (140 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
318人がお気に入り
設定タグ:wrwrd! , 実況者 , d!
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

HiNaTa/ひなた - あれ?目からバブルのたきが〜))…うわーンあ一わ一んうえ−ん (3月31日 8時) (レス) @page44 id: 46cf81a59e (このIDを非表示/違反報告)
さくさく日記(プロフ) - 初めましてさくさく日記と申します。完結おめでとうございます。今日こちらの作品を見つけまして最後まで通しで閲覧させて頂きました。物語の構成もですがそれぞれの人物の心理描写や流れがとても素敵で泣いてしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました。 (3月21日 22時) (レス) @page44 id: fce70f8179 (このIDを非表示/違反報告)
あずは(プロフ) - 号泣してしまいました😭素敵すぎます、!! (3月17日 22時) (レス) @page44 id: 0a871c975d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:riyana | 作成日時:2024年2月29日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。