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朝日も昇らない、まだ外の暗い早朝の時間帯

それでも館内は…戦地へと向かう兵士達の準備により

昼間と同様の騒がしさがあった。




…出発の時刻まで、

あと少しの時間という事だろう。





『ゾムさん…まさか、こんな寝癖をつけたまま…戦地へと向かうおつもりですか?』

「んふふ、出発前やけどAにセットしてもらいたくて!髪型だけそのままにしとった!」





渡されたブラシを受け取り

今日も、いつもの騒がしい朝と何一つ変わらない空気で

寝癖により、四方八方に飛ぶ彼の髪を梳かす。






「実はちょっと寝坊して、朝からトントンに怒られてもうた。」

『…トントンさんが、心配していた姿が思い浮かびますよ。』




「朝ごはんは、お腹がはち切れるまでた〜っくさん!食べて来た!!」

『何よりです。この後のエネルギーになります。』






…変わらない朝の会話のようだ。

これから、戦地に向かうとはとても思えない程に

彼は肝が据わっているように感じる。






「……なぁ、A?」

『………っ、はい。何でしょうか?』







たとえ、表情が見えなくても

彼はもう…とっくに気が付いているのだろう



ブラシを持つ手が…ずっと震えている事を

戦地にも行かない私が、1番不安で仕方がない事を。






「…忘れとるかもやけど、俺…こう見えてもこの国の幹部やで?…特に、これから向かう戦場地では、な?」

「Aは、俺の専属メイドやろ。そこだけは1番に信頼して欲しいんやけどなぁ…。」





恐らく彼は今、口をぷっくりと膨らませては

不貞腐れた顔をしているのだろう。





『っ…申し訳ありません…ゾムさん。』

『…でも、どうしても。貴方に"行かないで"と言う気持ちが………っ、本当に申し訳ありません。』





"行かないで"こんな言葉…

決して言ってはいけない言葉だと分かっているが。

今は、貴方にその気持ちを伝えてしまった事を

私は、謝る以外は出来ないのだ。





そんな私を見て、彼は優しく頭に手を乗せ…

クシャクシャと不慣れな手つきで、頭を撫でる。





「言うたやろ、俺がAの"目"となって」

「"彼"の知る"海"に連れて行くと。」






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HiNaTa/ひなた - あれ?目からバブルのたきが〜))…うわーンあ一わ一んうえ−ん (3月31日 8時) (レス) @page44 id: 46cf81a59e (このIDを非表示/違反報告)
さくさく日記(プロフ) - 初めましてさくさく日記と申します。完結おめでとうございます。今日こちらの作品を見つけまして最後まで通しで閲覧させて頂きました。物語の構成もですがそれぞれの人物の心理描写や流れがとても素敵で泣いてしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました。 (3月21日 22時) (レス) @page44 id: fce70f8179 (このIDを非表示/違反報告)
あずは(プロフ) - 号泣してしまいました😭素敵すぎます、!! (3月17日 22時) (レス) @page44 id: 0a871c975d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:riyana | 作成日時:2024年2月29日 19時

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