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「おはようございます。珍しく随分と早起きですね…ゾムさん?」

「よければ、ご一緒にお探ししましょうか?」



「別にいらん。1週間ぐらいで返す。」





まだ、日も昇らない早朝の図書館

流石に誰も起きているとは思っていなかったが

まさか、よりによって"エミさん"が起きとるとは。



また彼も、トントンと同じで俺と彼女の関係を知る

数少ない人物である。





「では良ければ、私のお勧めの本があるのですが…」

「"冒険物語"なので、普段読書をしないゾムさんもきっと楽しく読めるかと。」



「余計なお世話やし、別に読まんわ。」






後ろで分かりやすく落胆されても困る

彼も、何だかんだで俺とAの事をトントンと同じで

子供の頃のままやと思っとる、そんな態度が見える。


俺らはもう、大人なのにな。





「…そこには、貴方が"探している本"はないかと。」


「……分かったフリをせんといてくれるか、別に何を探していても俺の勝手やろ。」





別に視線も何も向けるつもりは一切ないが

彼は自分の後ろに立ち、また変わらず

唇に指を当てては、悠々と話しているのだろう。



自分の考えている事を、先読みされている

そんな所が、ホンマに嫌やわ。





「…おや、失礼しました。」

「あっ、ちなみに…"医療の本"は2つ程奥の棚に、ありますよ。」


「……………。」





その言葉を残し、自分に背を向け図書館の奥へと

静かに足を進める彼の足音を聞き…

自分は話の通り2つ奥の棚へと足を進める。





「……失明……目に、関する本。」

「…ざっと、7冊ぐらいか。」





"治す"という方法を模索するには、

俺に知識がないと始まりにも立つ事ができない

彼女が入院していた病院にも、話を聞かなあかんな。





「……………。」

「……"移植"に、関する本もやな。」




自分は、本棚にある分厚い"医療"に関する本と

お勧めされた"冒険物語"の本を手に取り

静まり返る廊下を進み、自室へと足を進める。




そう言えば、返却期限を聞くのを忘れてもうた

まぁ、後で会うだろうし、そのタイミングでええやろ。





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HiNaTa/ひなた - あれ?目からバブルのたきが〜))…うわーンあ一わ一んうえ−ん (3月31日 8時) (レス) @page44 id: 46cf81a59e (このIDを非表示/違反報告)
さくさく日記(プロフ) - 初めましてさくさく日記と申します。完結おめでとうございます。今日こちらの作品を見つけまして最後まで通しで閲覧させて頂きました。物語の構成もですがそれぞれの人物の心理描写や流れがとても素敵で泣いてしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました。 (3月21日 22時) (レス) @page44 id: fce70f8179 (このIDを非表示/違反報告)
あずは(プロフ) - 号泣してしまいました😭素敵すぎます、!! (3月17日 22時) (レス) @page44 id: 0a871c975d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:riyana | 作成日時:2024年2月29日 19時

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