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道中、ポキくんと話すのは楽しかった。
彼は色々な話題を振ってくれたし、私のするどんな話も楽しそうに聞いてくれた。
ポキくんと過ごす時間をいつしか、終わって欲しくない、と思うようになっていた。
自分の中で彼の存在が、どんどん大きくなっていく気がして。
スーパーの店員さんに許可を貰って分けてもらったダンボールを、二人で持って学校に戻る。
大きくて持ちにくいものを率先して持ってくれるポキくん。
申し訳なくなるくらい優しい。
好意に甘えて、私は軽めのものを両手で抱えた。
教室の前まで来ると、閉まっている扉の前で「開けてー!」と声をかける。
教卓に座っていた男子の一人が駆けつけてきて開けてくれた。
「A、好きなの飲んでいいよ」
彼は私からダンボールを受け取ると言った。
彼の示す先を見ると、誰かの机の上にコンビニの袋が置いてあった。
中を覗いてみると、抹茶ラテやらタピオカやら他にも色々な飲み物が入っている。
「いいの?」
「うん、暇になったからさっき買ってきた」
「ありがとう!」
彼に笑顔を向け、袋を漁った。
紅茶ラテ……これにしよう。
「俺の分は!?」
ダンボールを下ろしたポキくんが彼に問うた。
「ポッキーは有料だけど」
「何でだよ!」
軽口を叩きあった後、ポキくんがこちらにやって来た。
私は彼が見やすいように袋に入っていたものを机に並べる。
「A、何にしたの?」
私は「これ」と、手にしていた紅茶ラテを見せる。
「お洒落だなー。 お洒落なもん選ぶなー」
「ふふふ、これ好きなんだ」
と、ストローを取り出して飲み口に挿した。
「じゃあ俺これにしよ」
そう言って彼が手にしたのは抹茶ラテ。
私の選んだ紅茶ラテと同じメーカーから出ているものだ。
「色違い」と、嬉しそうに笑うポキくん。
屈託のない笑顔に心をくすぐられる。
「イチャつくな」
れんくんが笑い、窘めるように言った。
「Aのこと好きなのバレバレだぞ」
彼はさらに続ける。
冗談めいた口調だけど、ポキくんは慌てた様子でれんくんの口を塞いだ。
「バカ! バカれん! れんのバカ!」
怒っているような焦っているようなポキくん。
でも……、れんくんの言葉、否定しなかった。
思わずポキくんを見つめていると、目が合った。
心の中が透けてしまいそうで怖くて、直ぐに逸らした。
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年9月6日 17時