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#17 ページ17

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「……よし、これでぜんぶだね」

ポキくんが息をついて言った。

何とか、ある分のダンボールにリメイクシートを貼り終えた。

私は「うん」と頷いて、腰を捻る。
ずっと同じ姿勢で作業していたせいで身体中が痺れるように痛んだ。

「そろそろ切り上げよっか」

窓の外を見て言った。

いくつもの色の層が重なるグラデーションの空は、綺麗な色彩をつくりあげている。

(つや)やかな雲の隙間から放たれた黄金の光がガラスに反射して煌めいていた。

淡々と迫り来る夜の気配を感じる。

「……だね」

彼が立ち上がったのを見て、私もそれに倣う。
────しかし。

「あ……」

急に立ち上がったせいか、足元が沈み込むように揺らいだ。

何かが弾けるみたいにして霧がかった視界。
バランスを崩した私の肩を、咄嗟に誰かが支えてくれた。

「だ、大丈夫?」

ポキくんだった。
その感触と力強さに、心臓が跳ねる。

「う、うん……! ごめん、ありがとう」

どぎまぎしながらも何とか答える。
何故か、彼の方を見られなかった。

加速する鼓動に戸惑い、熱を帯び始める頬に狼狽えて。

「そっか、良かった……」

微かに笑い、囁くように言うポキくん。

ふわりと温もりが消える。
それでも心音は収まらない。

勘違いしてしまいそうだった。
彼が、特別な存在だと────。



*



後片付けを終えて、教室を出る。

鍵は、購買に寄りたいという男子たちがついでに返して来てくれることになった。

「ありがとう」とお礼を告げると、皆あたたかく頷いてくれた。

勝手に苦手意識を持っていただけだと、どうして今まで気づかなかったのだろう。



ポキくん、れんくんと共に校門を潜った。
れんくんはバスではなく電車通学なので途中まで一緒だ。

珍しくポキくんが大人しくて、会話はほとんど私とれんくんの間でしか流れなかった。







「好きだねー、それ」

Aが手にしている紅茶ラテを見て、れんが言った。

俺の飲んでいた抹茶ラテは教室を出るとき既に空になっていたのでゴミ箱に捨ててきた。

「うん!」

Aが笑って頷く。
……また、心臓がちくちく痛い。

れんの口振りに違和感が膨らむ。
前から知っていたみたいな。



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年9月6日 17時

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