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翌日の放課後も、集まったのは変わらず私とポキくんとれんくん。
今日は昨日残ってくれた男子たちは部活があるみたいで、申し訳なさそうに出て行った。
けれど、この二人と過ごす時間は楽しいから、全然平気だ。
当日までまだ余裕もあるし、のんびりやることにする。
「あと……何だっけ」
ポキくんが、壁に立てかけてある、昨日作った内装をちらりと見てから首を傾げた。
「あとはメニューと、外装と、色々細かいところかな」
リメイクシートも余っているし、外装も内装と同じように大きなダンボールにレンガ柄を貼ることにしよう。
あとはカフェらしく庇を作ったり、看板を作ったりといったところか。
内装は、あと風船やガーランドを足したりして、それからフェイクグリーンを飾る。
……という旨を二人に伝えると、二人は直ぐ様賛成してくれた。
「外装は人数欲しいから後回しでいっか。
とりあえずメニュー優先だね」
れんくんが言って、自身の鞄をごそごそ漁った。
出てきたのは1枚のルーズリーフ。
昨日男子たちが手にしていたメニュー案のメモ用紙だ。
「お!」
ポキくんがれんくんに駆け寄り、ルーズリーフをぱっと彼の手から抜き取って見つめた。
私もポキくんの持つそれを見る。
れんくんの、ちょっと崩した文字が並んでいた。
──────────
・飲み物
コーヒー、紅茶、オレンジジュース、コーラ、ファンタ、カルピス
・お菓子
クッキー、シュークリーム、エクレア、ケーキ系
──────────
「いいねぇ」
ポキくんが言う。 私も、うんうんと頷いた。
ルーズリーフに目を落としていて気づかなかったけれど、私たちは結構近い距離にいたみたいだ。
買い出しの前、一緒にメモを見ていたときのことを思い出して、小さく笑ってしまった。
ポキくんもそうだったのか、同時に笑って、顔を見合わせる。
その笑顔に、心が暖かくなった。
「すーぐイチャつく」
傍らで見ていたれんくんが茶化してくる。
そう見えるのか、とちょっとドキドキした。
ポキくんは前のように焦ったりする様子もなく、ただただはにかんでいる。
だから余計に、私の鼓動は速くなった。
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年9月6日 17時