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「甘いもの多くない？」
ポキくんが誰にともなく尋ねる。
「ご飯系は他のクラスがやってるかなと思って。
どうしてもって言うなら、塩味があるクッキーとかも買えば良いんじゃない？」
と、れんくん。
ポキくんは「なるほどー」と納得の様子。
「あとはシュークリームとかケーキ系なんだけど……どうしよ？
1個1個ケーキ屋とかで買っとったら予算足りんくなるよね」
「スーパーで買お！
シュークリームとかエクレアの小さいやつが何個かセットになってるやつとか、ケーキは切り落としとかあるし」
私が言うと、二人は「おぉー」と頷いてくれた。
「その手があった」
と言うれんくんに、得意気に笑ってみせた。
「じゃあメニューはこんな感じでいっか。
昨日の続きして内装仕上げよう」
♢
立てかけてあった内装の一部と、材料の入ったビニール袋を取りに行き、机を寄せてスペースを作る。
と、れんが言った。
「ガムテとダンボールもうちょい貰ってくるわ」
確かに、内装は良いとしても、外装までは足りなくなりそうだった。
あって困ることはないし、早めに貰ってきてくれるのはありがたい。
「おっけー」
そう答えてから、ちらりとAを窺う。
ちょっと怖かった。
一緒に行く、なんて言いそうで。
……でも。
「行ってらっしゃい！」
彼女はあっさり見送った。
れんも「行ってくるー」と、あっさり扉に手をかけた。
……なーんだー。
不安が空回りして、小さく安堵する。
杞憂だったみたいだ。
教室を出る寸前、れんがこちらを向いた。
にやり、と企み顔で笑われて、気づいた。
“二人きりにする作戦”のリベンジだったのか。
悟った瞬間、急に心臓が暴れ始めた。
れんは軽く手を振ると教室を出て行く。
気遣いに、感謝しかなかった。
「この葉っぱさ、ダンボールから垂らさない？」
Aが、ビニール袋から取り出したフェイクグリーンを、リメイクシートが貼られたダンボールに当てて言う。
「……へ。 あ、うん！ 良いと思う！」
二人きり、という事実にすっかり緊張してしまい、間抜けな声が出た。
「どうしたの？」
Aが微かに笑う。 ……笑われちゃった。
緊張しているのは、俺だけか。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年9月6日 17時
