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れんくんとは、中学1年生のとき出会った。
そのときから普段一人で過ごしていた私は、クラスメートに関心を寄せることもなく、当然れんくんとも関わりはなかった。
このまま特に思い入れも思い出もなく一年過ぎるんだろうと思っていたけれど、そうはならなかった。
……あれは、コンピューターの授業のときだったかな。
自由席で、たまたまれんくんと隣になった。
授業内容としては、ネットを使って色々調べながらレポートをまとめる感じだった気がする。
適当に検索してサイトを開いたとき、ゲームの広告が表示された。
そのときから私はゲームが好きだったから、その広告が気になってクリックした。
そうやって授業を差し置いてサボっていたら、横かられんくんが画面を覗き込んできた。
『ゲーム好きなの？』
びっくりした。
他の友だちと変わらない調子で話しかけられて。
突然のことに戸惑った私はたぶん頷くことしか出来ていなかった。
『へぇ、そうなんだ。
あ、これ知ってる！ 殺人鬼から逃げるゲームでしょ』
サイトに表示されていたゲームの一つを指して、れんくんが得意気に言う。
『そう！ れんくんもゲーム好きなの？』
気付けば私も普通に話していて、そんな自分にもびっくりした。
『んー。俺っていうより、俺の友だちにね、凄い色んなゲームやってるヤツがいんの』
今思えば、その“友だち”は、ポキくんなんじゃないかな。
そんな調子で私とれんくんはたびたび会話を交わすようになった。
これまで誰とも関わって来なかった私だから、きっとクラスメートは訝しんだのだと思う。
“付き合ってるの？”
という問いかけに最初こそ戸惑ったけれど、今はもう慣れたものだ。
はじめは二人とも真面目に「違う」と否定していたが、次第に冗談を交えることも増えていった。
……さっきポキくんにしたみたいに。
それでも、私もれんくんも、お互いに『好き』という感情が芽生えることはなかった。
突き放しているわけではないけれど、友だちという関係が一番ちょうどよくて、一番心地よかったから。
────さっきの、ポキくん。
私たちが付き合ってないと分かって、心底安心したみたいな表情だった。
“良かった”って……。
急に、頬が熱を帯びてきた。
理由は分からない。 真っ赤になってたらどうしよう。
火照る頬に困惑していると、今度は心の音まで大きく鳴り始めた。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年9月6日 17時
