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「!」

それは、同じストローを使うということ、だよね?
それって、つまり……。

頬が熱くなる。
戸惑いに固まっていると、ふっと息をこぼすような笑いが聞こえた。

「照れてんの?」

ひょい、と袋を取り上げられ、彼は当たり前のようにストローを咥えた。

……そっか、“当たり前”か。
もう私たちはただの友だちじゃないんだから。

「うん、美味いじゃん! 俺、天才」

堂々と自画自賛するポキくんが可愛くて、小さく笑った。
愛しさに胸がいっぱいになる。

再び差し出されたシェイクみたいなアイスを飲むと、心做しか先ほどよりも甘く感じた。







「……みたいなことがあって」

「のろけかよ」

屋上と購買での出来事を、チョコアイスを渡してかられんに話すと、そう言いつつも楽しそうに聞いてくれていた。

「ぜんぶれんくんのくれたアイスのおかげだよ」

「俺じゃなくてアイス?
てかアイス別に何もしてないやん」

テンポの良い二人の会話を聞いて、素直に笑えるくらいの余裕が今はあった。



その日の作業をすべて終え、息をつく。

れんは気を利かせてくれたのか、ちょっと寄るとこあるから、と先に帰った。

「A、帰ろ」

何の逡巡もなく声をかけると、彼女は頷いてくれた。

昨日までなら違う結末だったのに。
これを、当たり前だと思いたい。

バスに乗り込むと、一瞬迷った。
二人掛けの座席に座るか否か。

付き合ったからって急に積極的になれるわけもなく、意気地無しの俺はいつも通り一番後ろの座席に向かった。

Aはついてきてくれてはいるけれど、がっかりしたかな……?

なら、せめて。
彼女が座ったのを見て口を開いた。

「文化祭────」

言葉が途切れる。 突然、緊張してきたせいで。
こちらを向いた彼女と目が合う。

一度切った言葉を再開させるのって、タイミングが難しいな。

でも、逃げちゃ駄目だ。
意気地はなくても、自信は持っていいはず。

「文化祭、一緒に回らない……?」

……ああ、ちょっと失敗したぁ。
本当はもっと格好よく、堂々と誘いたかったのに。

Aは少し驚いたような表情を浮かべた後、嬉しそうにふわりとはにかんだ。

「うん!」

たったそれだけのリアクションがあまりに可愛くて、一瞬何もかもを忘れた。

この笑顔を守りたい。 これから先も、ずっと。



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年9月6日 17時

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