【d!】画面越しの愛してる【短編集】 (ページ2)

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＊ページ2

「なあAサン、顔見せてぇや、顔。そんでさ、頑張れって言ってくれん？一言だけでええから！な！」

ぐいぐいと本を引っ張る。ページが破けない程度に。引っ張るたびに顔を隠そうとして、隙間から真っ赤になった顔が少し見えて、自意識過剰が確信に進む。

『わ、分かりましたから！！！あの、引っ張るのやめてください！！！言います！！！言いますから！！！』

「ッしゃ！！」

数分くらい格闘したあと、やっとのことでAサンが折れてくれて、引っ張るのをやめる。

そろそろーっと本を離して見えるAサンの顔は、耳の先端まで真っ赤やった。

『… … しゃおろん、さん… が、頑張れー…』

「…おう！頑張るな！」

ぷるぷる震えながらぎこちなく笑って頑張れと告げるAサンに、思わず手が出そうになる。

必死で止め、理性で体を動かし、笑顔でAサンに手を振ってグラウンドへと走った。

「……へへ、嬉し…」

【喜(よろこ)び】

・よろこぶこと。うれしく思う心・気持。また、満足な思い。