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それから一週間ほど経った。一週間経っても あいつは1人浮いており、食事も仕事も基本的には1人で行っている。寂しいとも悲しいとも言わずに。
オスマンやエミさんが 時々話しかけたり お茶会に誘ったりしているものの、中々Aという人物が分からないらしい。ただし、悪いやつではないと。
甘いものが好きであったり、紅茶にはこだわりがあったり、歴史などには詳しかったり。あの人にも、案外人間らしいところがあるもんや と、2人は揃って言っていた。
しかしながら、こちらから話を振らないと 自分のことは話してくれず、ただニコニコしているだけで やはりどこかやりづらいと。
あんなにも怪しいんに？ 怪しさの塊なんに？
俺にはどうにも、あいつが人間やと思うことができなかった。
とある日。訓練所で訓練していると、唐突として警報が鳴る。この警報の音は… アー、観光客やんな。さてどこにおるか… 隣におったコネシマとシャオロンも走り出した。
《えー、東棟2階のそ『連絡中、申し訳ございません。』
途端、ロボロの連絡を遮るようにして喋るあいつの声。
「…ハ？ なんでAが？」
前を走っていた2人は、突然のAの声に 足が止まっている。かくいう俺も ビックリして思わず1度止まってしまったものの、またすぐに走り出した。
《…何の用？》
『東棟2階の倉庫前廊下から侵入してきた、観光客4人を気絶させました。抵抗できないよう、片足首の骨も折ってあるのですが…』
そこで一度言い淀む。
東棟2階の倉庫前廊下、な。…把握。ダクトをすらすら通りながら、インカムに耳を傾けた。
『…申し訳ございません。内1人だけ、勢い余って殺してしまって。この死体はどうすればよいでしょうか？』
《殺し… そうか。ウーン… 死体は何も喋らんからな… じゃあ、その棟の外に死体用焼却炉があるんよ。分かる？》
『分かります。そこに捨てればよいのですね』
《物分かりが良くて助かるわあ。気絶させた4人はこっちで回収しとくから。よろしゅう頼んますわ》
『承知しました』
ブツリと通話が途切れる。そしてすぐあとに、個人通話として俺にかかってきた。
《…ってことなんで、本棟拷問室までよろしくな。あと、できればあの子のことも手伝ってあげてな》
「運ぶのは別にええねんけど、手伝うの俺じゃなくてもええやろ。童帝が気にしすぎちゃう？」
《童帝言うな！！！！ 新入りなんやし手伝ってやれや！！！》
………めんどくさいわ〜
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作者名：さき。 | 作成日時：2023年7月13日 14時
