【d!】画面越しの愛してる【短編集】 (ページ19)

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※ぐろ表現注意
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
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確かに新入りやけど、仮にも幹部なんやから死体の1つくらい運べるやろ…… わざわざ俺が手伝う意味あるか？

まあええか。どっちにしろほっとけば自分で何とかするやろ。とりあえず観光客が起きる前に運んどかないとな…

えーと、東棟2階の倉庫前廊下… ここか。

ダクトから降りる。降りた先にあるまとめられた4人の男ども。しっかりと縄で縛られていることを確認し、引きずりながら運ぼうと思った。

目線を移した先にいた、死体に跨がり何かをしているA。

血溜まりの中、ぶつぶつと何かを呟きながら何かをしているAは、あまりにも不気味に見えて。

「ッ、何してんねん」

思わず声をかけた。髪が揺れてAがこっちを向く。

『…おや、ゾム様。気づけず申し訳ございません」

……重そうな剣を握りしめ、真顔のまま俺を見つめるA。いつものあのにんまりとした笑顔はそこに無く、無感情のような、感情が抜け落ちたような顔のまま。

別人みたいやった。もはや、こいつは人間じゃなかった。

手先が震えて力が抜ける。男どもが倒れる音がして、後退りをした。

『解体した方が持ち運びが楽なので、解体しておりました。恐れ入りますが、袋を持ってきてはいただけないでしょうか？』

そう言い放っては、また死体の方を向いて解体を続けるA。

死んでからまだ時間が経っていないため、解体する度に血がどろりと漏れ出てくる。鼻を塞ぎたくなるような生臭い匂いをものともせず、骨をたたっ切っている。

終始真顔やった。ただ、頚を切り離したときに飛び出てきた噴水のような血を見たとき、

一瞬だけ笑ったような気がして

怖かった。目の前の人間が、人間とは到底思えなかった。

俺の中でこいつはこいつは… 化け物と、化した。

冷や汗がたらりと体を這う。知らないほどの恐怖に体を襲われて動けない。分からない。分からない。こいつが分からない。

「……お前、何者なん。お前は誰なん」

俺の声を聞いたAは剣から手を離して、跨がるのを止めその場に立ち、胸に手を置いてから礼をした。

『wrwr国の幹部を勤めております、Aと申します。何かご用ですか？』

そうしていつもの顔でにんまりと笑ったんや。

【警戒(けいかい)】

・好ましくない事が起こらないように、注意し用心すること。