【d!】画面越しの愛してる【短編集】 (ページ20)

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愛してる＿kn ページ20

※軍パロ
※死ネタ
※悲恋ネタ

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A side

私、ちゃんとシッマのこと好きやったんやで

やから、シッマと付き合えたとき、ほんまに嬉しかった。嬉しすぎて、信じられんくて、思わず都合のいい夢かと思ったわ。

それに、シッマって恋とか愛とかウザがりそうやん？効率主義やしさぁ、恋人とか邪魔でしかないわ！とか思ってそうやったから… それも相まって、超嬉しかったわ…

真っ赤な顔で告白してきてくれたシッマはバリ可愛かったんよ。

心無いって言われとるけど、あんな顔を一度見たんならツッコミもできんくらい撃沈してまうな。

私もシッマも、お互いがお互いのこと大好きやったはずなんよな。メンバーにもてはやされることも多かったけど、それでもやってこれたんやから。

大好きやった、はず… なんやけどなあ…

▲▲がここに来てから、いつの間にか軍内の雰囲気は変わっていった。

私が知らない間に、色々変わっとったみたいやわ。メンバーの性格も、シッマの態度も。

▲▲が来てから、シッマが私に話しかけてきてくれる回数が減った。「好き」と口に出してくれることも無くなったし、キスは口ではなくこめかみに変わった。

以前との距離感の違いを感じるたびに、胸がじくじく焦がされている感じがした。自然と下を向くようになった。喉が勝手にしゃっくりをあげた。

シッマに触れられているだけ嬉しいと思うべきなんかなぁ。でも私はもう付き合う前には戻れないんよ。触れられる幸せを知ってしまったから。

私はシッマみたいに心を無くすことなんてできへん。やから、耐えるしかなかった。もしくは慣れるしかなかった。

「別れよ」って言えたらどんなによかったか。こんなに心を痛めてまで、シッマと付き合う意味はないのに。

でも、どんなに冷たくなっても、私はシッマが大好きやったから。

別れることなんてできんかった。せっかく繋がれることができた恋人という関係を、切りたくなかったんや。

切らないままであれば、私とシッマはずっと恋人のままやから。
そうやってシッマにすがってたんや。

ねえシッマ、

『愛してる。シッマは？』

「…俺もやで」

私からキスをした。
久々に触れた唇はひどく虚しくて、紡がれた言葉はひどく冷めている気がした。