【d!】画面越しの愛してる【短編集】 (ページ3)

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行きはよいよい… ＿zm ページ3

※学パロ

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A side

コツ、コツ、コツ、コツ。ローファーが地面を叩く音が鳴る。傾いている夕焼けが私の横顔に射す。帰りの時間を示すチャイムが街中に鳴り響く。

瞬間。

＿＿ヒヤッ… と、背筋が冷えた。突き刺さっているような冷気と視線、足音。後ろから、左から、右から、下から…… 誰かに見られている気がして…

それほど暑くもないのに、冷や汗が垂れる。末端が冷え始め、心には恐怖が沸き上がる。髪の先一本、逃してはならない。

知らないフリをして、何も見るものなんてないのに、スマホを取り出して眺めた。こうでもしていないと頭がおかしくなりそうだ。

後ろを見るのが怖い。誰かいるのだろうか。もしかしたら、後ろを歩いているだけの一般人かもしれない。

でも振り返れない。後ろを振り向いたら最後、見てはいけないものを見て、連れ去られてしまう… と… 頭の中の誰かが警鐘を鳴らした。

歩くスピードを速くして、できるだけ自然に独り言を呟く。スマホを見ていていいニュースを見つけた人のように、喜んで、驚いて、し、しなければ。

家に帰るまでに、捕まったら、いけない。私は、無事に、家まで帰るのだ。私は、帰らなければ。

スマホを見る。指を動かして、止めた。

『…ぁ、美味しそうなスイーツ… どこのやつなんだろう… 近くだったらいいなあ…』

ただし、画面に映るのは… 美味しそうなスイーツではなくて、恐怖に焦っている自分の顔 …だけれど。
　
　
　
　
　
　
　
　
「… ストーカー、か。…分かった。不審者情報を出すよう、警察に連絡しておく。ついでに警備を強めるようにも。…今日も、気をつけて帰るんだぞ」

『は…い… ありがとうございます、先生…』

おかしくなりそうで、潰されそうになった心を守るため、先生と親に相談した。とても心配してくれて、対策を立ててくれて、いい人がそばにいて良かったと思う。

これでストーカーがいなくなったらいいんだけれどな。