【d!】画面越しの愛してる【短編集】 (ページ22)

今日:21 hit、昨日:8 hit、合計:19,183 hit

＊ページ22

私とシッマの部隊は同じような部隊… というか同じ部隊なんやけどね。同じ近距離部隊。やから、戦争で配置されたときも立ち位置はシッマと近かった。

よく背中合わせでカッコつけて戦ってたりしてたわ。倒した敵の数で勝負して… はは、懐かし。

今じゃもうそんなことせんのやけどな。そろそろ別れ話でもするべきやろか。

今回の戦争もよく荒れていた。見慣れた光景… って言ったらすっげえ不謹慎やけど。

シャオロンとシッマがいの一番に突っ込んで、ショッピ君がスナイパーで漏れを撃ち抜いて、大先生はガバをして、最終的にゾムが蹴散らす。

特に配置も立ち位置も戦い方も変わっていなかった。私とシッマが背中合わせで戦ってなかったことは、変わったことかもしれんけど。

戦争の勝利を歴史に刻んだ後、私達は撤退の作業をしていた。

怪我人の応急手当、搬送、兵士達の帰還、救護班の手伝い。戦争が終わったとて、やることはたくさんある。それを完全に終わらせて、やっと戦争が終わったと言えるんや。

「…なあA、ちょ、ちょっといいか」

『…シッマ？どうしたん？』

町の崩れた部分を確認している最中、シッマに話しかけられた。その顔はすごく赤かった。

『(ああ、久しぶりやんな、シッマのこの顔見るの)』

好きな子でもできたんやろか。別れ話？それにしても、なんでこん時に？

ぎりぎりと歯軋りをしてしまう。人の気持ちなぞつゆ知らず頬を染めるシッマに、狂うほどの嫉妬してしまう私に、誰かとも知らない誰かに、イライラが止まらなかった。

遠くにひょっこりと顔を出している大先生が見える。大先生はまたギョッとしていた。何にギョッとしているんやろ。