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グルッペン と名乗った総統は、緑色の迷彩のようなパーカー？を着た男の人の肩に手を置き、雑に紹介する。ゾム… は、飛び回っている蠅が気になっているよう。
「マ、早速本題に入るんだが… 今ここで お前が持っている情報を全て吐いてもらえれば、お前に拷問はしない。俺の手駒にしてやろう」
鉄格子越しに手を伸ばしている。腕は縛られているために、たとえ手を取ろうとしたとて 何もできはしない。
「だが、断れば… 分かっているな？」
チラリと隣のゾムを見た。影に隠れて 目元は見えないものの、かなり強い圧を感じる。断ったら拷問をする… という、分かりきった答え。
私は… 痛いのが大嫌いだ。殴られることも、鞭打ちも、痛いものは全部。…トラウマだからだろうか。とにかく 痛いのは大嫌いだし、とても怖い。
…それに元々、あんな国に愛着も忠誠心も無い。使えるだけ使いまわして、人間のことを人間とも思っていない、あんなやつが治める国を 好きになれるわけがない。
もはやこれは 私にとっての好機、チャンスなわけで。情報を渡すだけで あんな国から解放されるなら、私はいくらでも吐くだろう。
俯かせていた顔を上げる。好奇心に満ちた赤い眼が私を見ている。
手は差し出されたままだ。
私の手は縛られている。差し出された手を取ることはできない。
代わりに 手のひらがある位置の鉄格子に 頭をトンと置き、掠れた声で喋りだした。
『…私は F国の幹部、書記長兼 近距離部隊第1隊隊長の A。あの王は＿ 』
「…ックク、そうか、そうか。よく言えたな、A。褒美として、この国で存分に可愛がってやろうじゃないか！」
全ての情報を言い終わった後、頭を撫でられる。その手がとても大きくて、暖かくて、あの王とは違う何かを秘めていて…
「ゾム、ロボロに全部伝えとけ」
「…エッ、ほ、ほんまにそいつ、
「ああ、もちろん。トン氏にも言っといてくれ」
「エェ〜… わ、かったわ」
頭の上の重みが無くなって、頭を上げた。ゾムが部屋から出ていく姿が見えた。
「…さて。じゃあ行こうか、A」
鍵をポッケから出して扉を開ける。鎖で繋がれている私の手を解放し、グルッペンは私の手を握ったまま笑った。
「ようこそ、我々の国へ。我々はAを歓迎しよう」
【
・それでよいとして、認めること。
続く (更新停止中)
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←手を取れ ＿gr※※
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作者名：さき。 | 作成日時：2023年7月13日 14時
