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大恋愛計画。恋愛初心者な俺は一世一代の告白に向けて、ワンランク上の男になろうとしていた。
まずは距離の詰め方。他のメンバーには物理的に絡むことが出来るし、強く言うことも出来る。しかし彼のことになると、何も出来ない。髪を触ることすら緊張する。
彼に向けて出る声はキャラメルのように甘くなり、表情はトーストの上のバターくらい蕩ける。
「そもそも神ちゃんにガンガン絡みにいけんの?」
「そこやねん。でも結構頑張ってる方やねん、俺にしては。」
「好きが出過ぎんねんな。めっちゃ乙女やん自分。」
「乙女とか言うなや。恥ずいって。ニコニコ天使ちゃんって言えや。」
「それまだ引っ張るんや。」
流星との会話を聞いていた淳太が、一言。
「押しに弱いし、押したらいけんちゃうん?」
「そんなチョロないやろ。俺には鉄壁に見える。」
「お前それ奥手すぎやって。もっといけよ。」
「何やねん、モテへんくせに。」
「モテてるわ!」
コイツらは本気で相談に乗ろうとしているのか、はたまた茶化したいだけなのか。
しかし、今の俺にはこのバカみたいな空気が有難かった。ネガティブな思考はいつの間にか消えていた。
後日、飲み会にてなんやかんやで纏まった押して引く、という作戦を実行することに決めた。
恋愛マスターこと小瀧曰く、これが一番効くらしい。シンプルというか、原点というか、恋愛マスターではない俺でも知っているレベルだ。
「あ、あのさ、神ちゃん。今度家行って良い?」
「え?うん。いいけど、何すんの?」
「いや、その、曲とか、作ってん。新しく。聞いてほしいなって。」
「ご飯とかでいいんちゃうん?」
「まぁ、せやんな。でもほら、最近俺らメディアへの露出増えたし。」
「いやこの前皆で飲み会しとったやん。」
我ながら無理があるとは思った。赤くなった顔を隠したい。
小瀧が俯いて肩を震わせながら笑いを堪えている。照史に至っては吹き出している。おい、お前ら。
しかし、ここで優しいのが神ちゃんだ。鋭いツッコミの後は甘い飴が飛んでくる。
「まぁええけど。ご飯作ろか?」
「はぁ…!神山様…!唐揚げ!」
「じゃあ唐揚げな。もしやそれ狙いやった?いついけんの?スケジュール空いてるん?」
「空いてる!ここ、夕方から空きやねん!」
神様、ありがとうございます。マジで。
おい見たかお前ら、と全員にドヤ顔をかます。流星か、俺は。
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かみ(プロフ) - 蒼乃碧さん» はじめまして!コメントありがとうございます^^ 初投稿なのでグダグダかもしれませんが、お時間があるときにでもまた読みに来てくださいね! (3月30日 21時) (レス) id: 39c448f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - 初めまして!かみしげでシゲがこんなに可愛いの好きです!続き楽しみにしてます^_^ (3月29日 15時) (レス) @page3 id: d378d34ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かみ | 作成日時:2024年3月29日 8時