56.遠目だとほぼブロッコリー ページ14
俺達はぐんぐんと上昇し、あっという間に雲に近づくまでの高さまで来た。
さっきまで自分を覆うように囲んでいたビル郡が大地の一部のようになっていて、飛行機以来の不思議な感覚だった。
「落ちひんようにちゃんと掴まっとってなー、角でもええから」
シャオロンさん改めシャオロンは飛行中何度も話しかけてきてくれたが、この短時間で沢山のルールを課せてきた。
彼曰く、「俺にさんを付けるな」「呼び捨てでいい」「敬語厳禁・タメ口のみ」「他の奴らにもなるべくそうしろ」、とのこと。最後のはよく分からんから忘れることにした。
呼び捨てにして以降は彼の機嫌が少しばかり良くなった気がして、正直いつ食べられるのかと恐怖していたので内心ホッとした。
「意外と快適やね、空の旅」
「ん？せやろー」
ふふん、と鼻をならす彼。風を操って極力風圧を少なくしているのだとか。
「すげー…どうやってんのそれ」
「ええ…あなたが言います？」「？？」
自然すら操るなんて流石は龍！なんて思った矢先にそんなことを言われ、ちょっと驚いた。あ、たしかに人間が龍と喋れてんのはおかしいか。
たしかに、と一人で納得しているとそれもそうやけど…とシャオロンはまた言い淀む。
「お前普通に天候操るやん」
「何をどうしたらそうなるん」
唐突に突きつけられた支離滅裂な発言に、思わず雑なツッコミを入れてしまった。そもそも俺ら会ったばかりなのに何を根拠に言うとるんやこの龍は。
「じゃあほら、願ってみ。虹出ろって」
「えぇ……？じゃあまあ……ふんっ！
…出ぇへんやん」
あれぇ？とシャオロンは辺りを見回そうと首を左右に振り、その度に全身がくねくねと揺れて、胃が縮み上がる思いだった。
「そっかぁ…自分の意思じゃ無理なんじゃないの？多分」
まぁいつかできるんちゃう、と当然のようにほざく龍。ただの人間に一体何を期待しているのか。
そこから暫く沈黙が続き、俺は空からの景色を堪能するため視線を遠くへ移した。すると、はるか遠くの方に広がる緑と、その中心に一際大きな緑があるのを発見した。
「シャオロンシャオロン、あれ世界樹？」
「あれ？…あーせやで、よく知ってんね」
今回の修学旅行でも行う予定の、世界樹近辺の森探索。
想像の倍はデカイ…樹海の中から一本だけドカンと飛び出している。どこぞの家電CMよりも迫力満載や。
あそこには一体何が…そう考えるとなんだかRPGみたいで、探索が少し楽しみになった。
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ハイド - 楽しく読ませていただきました！続き楽しみにしています！ (4月29日 8時) (
レス) @page30 id: 7c83359ee3 (このIDを非表示/違反報告)
カキ - マジあざす (2022年8月28日 11時) (レス) id: d29a1ef807 (このIDを非表示/違反報告)
れーれーれー - いつも読まさせていただいています！面白いので頑張ってください！……あと、お/り/ふ/ら立ってますよ！(ﾎﾞｿｯ) (2022年8月27日 17時) (レス) id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カキ x他1人 | 作成日時：2022年8月27日 16時
