62.遺伝 ページ20
展示室を転々としながらも豚頭族の男は説明を続けた。名前はトントンというらしい。
なんというか、彼の言葉の節々に臨場感やら何やらをを感じられてとても分かりやすい。授業じゃ教わらなかったことを知れたり、人間とはまた違った目線で話してくれるのもあって、以外にも退屈しなかった。
多分その寿命の長さゆえに色々見てきたものがあるのだろう。とりあえず警戒だけは怠らないようにして、ちゃっかりメモは取っておいた。
｢ありがとうな、色々話聞いてくれて｣
しおりのメモ欄の端までしっかりと文字を書き留めた後、トントンのそんな一言に俺は顔を上げた。
｢この博物館な、俺もちょくちょく企画とか携わってんねん。別に学芸員ってわけちゃうけど｣
｢たまに来てみるとまた新しい視点で物事を見れて勉強になるで。特に君みたいな子に教えながらやとね｣
兄弟の墓参りみたいなこともできるし、と彼は付け加える。ホンマによく展示許したったな。
｢てか、オークってそんな何千年も生きるんすね｣
｢えぇ？んなまさか。せいぜい人間といい勝負やで｣
おぅどゆこと。あんたオークちゃうんかい。
｢俺、豚頭族と天使族のハーフやねん。オークの母親と天使の父親な……で、俺は天使の血が多めってわけ｣
いやどこが？寿命以外全部豚さん要素満載やけど…
そこまで喋ったところで、俺はトントンの声色に段々抑揚がなくなっていくのに気がついた。家族関係かなんかで思うところでもあんのかな。
彼の血縁関係についてそれ以上の言及はなく、結局最後は他愛もない話をしながら博物館の出口まで送ってもらった。そしてそこで俺は重大な忘れ物に気付く。
｢
｢…ーい、おーい！希くんこっち！！｣
聞き覚えのある声がして、急いでトントンとその方向へ走る。どうやら彼らが先にここへ着いて俺を待ってくれていたらしい。
当然のごとく心配してくれていたようで、皆安堵の表情を浮かべていた。
｢ハッ！何をしとったんや俺は、こんなん誘拐みたいなモンやんけ…！｣
｢いやいや全然大丈夫やから！俺の方こそホンマにありがとうございました｣
ぐおおおお…、と一人頭を抱えて悶えるトントンにそう声をかけると、彼は｢そうか…？｣とまごつきながらも顔を綻ばせた。
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ハイド - 楽しく読ませていただきました！続き楽しみにしています！ (4月29日 8時) (
レス) @page30 id: 7c83359ee3 (このIDを非表示/違反報告)
カキ - マジあざす (2022年8月28日 11時) (レス) id: d29a1ef807 (このIDを非表示/違反報告)
れーれーれー - いつも読まさせていただいています！面白いので頑張ってください！……あと、お/り/ふ/ら立ってますよ！(ﾎﾞｿｯ) (2022年8月27日 17時) (レス) id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カキ x他1人 | 作成日時：2022年8月27日 16時
