64.また海ですか ページ22
トントンと別れてすぐ俺達は一旦ホテルに戻って昼食を取り、そこから班別に小型バスに乗って各々の体験場所へと向かった。
うちの班は他と違ってそこそこ大荷物で、皆リュックとそれなりにデカい手さげカバンを持ち歩いている。
何を隠そう行先はなんと海。ただしビーチバレーだのかき氷だのを楽しむ訳ではなく、ゴリゴリの海中探索である。
うん、もう夏休みにやったわ。でもそれを言うとややこしくなるから黙っておいた。
何しろ数ある体験学習プログラムの中でもダントツの人気だったのがこの海中探索であり、クラスの殆どがこれをやりたがったからだ。
そんな壮絶な戦いをジャンケンをもって制した我らが班長(名前知らん)の頑張りを無下になんて、到底する気にはなれない。
というわけで俺は悪くねぇ。許してくれよな。
そんなこんなで、目的地である水族館までやって来た。だだっ広い海に面していて、ちょっと潮の匂いがする。
予め読んでおいたプログラムには、海に入るのはここで説明を受けてからと書いてあった。間違っても俺達が入るのは水槽ではないらしい。
先生に連れられて館内に入場すると、驚くことに見覚えのある男の姿がすぐそこにいた。
｢あっ｣
｢ん？……えっ｣
いや｢えっ｣やないわ大先生。なんでおんねん。
｢な、なんでおんねん…｣
こっちのセリフや。
水生族特有の言語で喋っているおかげで俺以外には聞こえていない。しかし、顔。
大先生、驚きすぎや。顔が全て物語ってんで。
──────
────
｢えーと、僕はウツ言いますー。今回の体験学習で皆を引率する係やから、よろしく｣
こう見えて水生族と人魚族のハーフやで、と大先生は付け加える。
俺も最初は驚いたけど、パンフレットを見ればこの人選も頷ける。…いや、よく考えたらなんで国のお偉いさんがこんなことしてんの？暇なの？？
｢これから皆に体験してもらうのは、知っての通り海中での生活や。数時間の間人魚達が普段海でどんな生活を送っているか体感してもらうで｣
そう言いながら、大先生が懐から錠剤を取り出す。
｢この薬を飲むと、皆は一時的に人魚の姿に変身します。誰がどんな姿になるのかは君らの中に眠るお魚さんの遺伝子次第やから、それも醍醐味やね｣
曰く、大抵の場合は普通の魚に基づいた姿になるらしい。おいこっち見んな。
｢(またあのデカザメになるんか…)｣
縮み薬あるかな。
そんな一抹の不安を抱えたまま、プログラムは進んでいった。
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ハイド - 楽しく読ませていただきました！続き楽しみにしています！ (4月29日 8時) (
レス) @page30 id: 7c83359ee3 (このIDを非表示/違反報告)
カキ - マジあざす (2022年8月28日 11時) (レス) id: d29a1ef807 (このIDを非表示/違反報告)
れーれーれー - いつも読まさせていただいています！面白いので頑張ってください！……あと、お/り/ふ/ら立ってますよ！(ﾎﾞｿｯ) (2022年8月27日 17時) (レス) id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カキ x他1人 | 作成日時：2022年8月27日 16時
