66.海洋恐怖症さん！？ ページ24
残りの薬が全部水に溶けたことを全く気付いていない大先生に手招きされ、俺はおずおずと穴へ近づく。
中を覗くと、水面越しに人魚になった皆が手を振っていた。すまん、多分そっち行かれへん。
俺は皆にバレない程度に口をパクパクと動かした。
｢大先生｣
｢……えっ！？ゾムさん水生語もイケんの！？｣
驚く大先生も、意図を組んでくれたのかすぐさま同じ言葉で返してくれた。
獣語がいける時点で薄々気付いてたけど…なんかどんどん人間離れしとる気がする。
｢薬溶けてる｣
｢え？｣
｢下見て｣
｢下……………ﾊｧｯ！！？｣
間違いなくこの場の全員に聞こえた大きく息を飲む声。
こういうリアクションって、種族を越えて大概同じなんやなぁ。
遠い目でそんな感想を抱いた、今日この頃。
──────
────
｢………魚綺麗やなー｣
｢そだねぇ｣
誰かさんのクソガバのおかげで海中体験ができなくなった俺は、同じく何故か辞退した他校の青髪男子と2人きりで水族館を見学していた。
それはなぜか。彼に｢一緒に待ってよ☆｣と誘われてしまったからである。
前に言ったかもしれないが、他人に向かってNOと断ってやれる程の度胸は俺には無いのだ。
ダメ元で種族を聞いてみると、やはり人間では無いらしい。しかしスキンもしておらず、限りなく人間に近い姿をした他種族もいるんだなあと改めて知った。
｢そういえば、名前まだ…｣
｢あ、希です｣
｢え、ゾム？？｣
なんでやねん。聞き間違え方がピンポイント過ぎるやろ。
そう考えると一気に目の前の男が胡散臭く思えてきた。でも歯車のバッジは見当たらへん……大先生達とは関係ないんか？
｢の・ぞ・む。あだ名がゾムっすね｣
｢へぇ〜…じゃあゾムさんでいいや｣
同年代だし敬語やめなよ、と初対面の癖に馴れ馴れしい態度で接してくる青髪。不本意だったが、俺はNOと(ry
その後｢らだお｣と名乗った彼を俺も真似して｢らっだぁさん｣と呼ぶことにした。思いの他めっちゃ気に入ってくれて何よりである。
｢俺実は海めちゃくちゃ苦手なんだよね〜。水族館行くだけって言うから着いてったのに｣
潜らされそうになってマジで焦った、と彼が笑う。なるほど、辞退したのはそういう事か。
｢足つかないし一寸先が闇過ぎてほんっとに無理なのマジで｣
なんて言いながら目の前の水槽を美しそうに眺めるらっだぁさん。
見るだけならええんや、と思いながら俺もただただ魚を眺めた。
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ハイド - 楽しく読ませていただきました！続き楽しみにしています！ (4月29日 8時) (
レス) @page30 id: 7c83359ee3 (このIDを非表示/違反報告)
カキ - マジあざす (2022年8月28日 11時) (レス) id: d29a1ef807 (このIDを非表示/違反報告)
れーれーれー - いつも読まさせていただいています！面白いので頑張ってください！……あと、お/り/ふ/ら立ってますよ！(ﾎﾞｿｯ) (2022年8月27日 17時) (レス) id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カキ x他1人 | 作成日時：2022年8月27日 16時
