70.海怖い ページ28
えーとつまり、どういうことだってばよ…？
｢あ、下見なかったら意外と大丈夫だわー！｣
ガハハ！とわざとらしく豪快に笑う男。
逃げ出そうともがいてみるが流石は青鬼、怪力のせいかビクともしない。
恐怖に侵された情けない声で、俺は精一杯の反抗をした。
｢た、食べないで……っ｣
｢…はぁ？何言ってんの？｣
｢え…？｣
思わず疑問の声をもらしたが、らっだぁにも何言ってんのか分からんという顔を返される。
すると、青鬼特有の真っ黒な瞳とパチリと視線が合った。
ズキン
｢い゛っ｣
頭が……
─────馴れ馴れしい。
初対面の癖に、どいつもこいつも。
人違いやろ。
ありえない。
俺は知らない。
俺は、ゾムであってゾムじゃない。
皆が思ってる、ゾムじゃない……………
｢ゾムさん？体重かけないで！？沈むよ！？｣
｢……ん？｣
急に目の前が真っ暗になって、気が付くとまだ海の上にいた。
何だか短い夢を見たような……
｢(……忘れた)｣
｢あ、ちょ、ちょっと待って！！？深いわ！！！ねぇこれちゃんと深いって！！！怖い怖い怖いウワｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ助けてえええぇぇぇ！！！！｣
｢おいっおま、暴れんといて！！｣
うるさく喚くらっだぁを宥めて落ち着かせると、フゥフゥ言いながらようやく大人しくなった。
まさか本当に海がダメやったとは。よく飛び込んでくれたなと思う。
｢腰捕まっといて。俺が泳ぐで｣
｢お、OKOK｣
らっだぁが腰にひっついたのを確認し、ゆっくり泳ぐ。
岸まで上がると、2人で仰向けになってゼェゼェと息をついた。
｢……ホンマに、ありがとう……｣
｢……はァ、こちらこそ……｣
空綺麗。空青い。
生きてるって、幸せやなぁ。
｢………らっだぁ、さん？｣｢ん？｣
｢ホンマに俺のこと食べへん？｣
｢いや食わんよ、俺そういうんじゃないから。そもそもそっちが先に鬼ごっこ始めたんじゃん｣
いやそうやけど。ちゃいますやん(矛盾)。
｢こっちも聞きたいんだけど｣｢うん？｣
｢俺のこと、ほんっっっとに全く知らない？｣
｢うん。多分人違いやで｣
沈黙が訪れる。
｢記憶喪失……｣
｢なってへんよ！？｣
｢じゃあなんで俺のことらっだぁって呼んだの！？｣
ややこしくなってきたぜおい。
2人で混乱していると、遠くから別の声が聞こえてきた。
｢おーいらっでぃー…あん？なんであんさんらそんなびしょ濡れなん？｣
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ハイド - 楽しく読ませていただきました！続き楽しみにしています！ (4月29日 8時) (
レス) @page30 id: 7c83359ee3 (このIDを非表示/違反報告)
カキ - マジあざす (2022年8月28日 11時) (レス) id: d29a1ef807 (このIDを非表示/違反報告)
れーれーれー - いつも読まさせていただいています！面白いので頑張ってください！……あと、お/り/ふ/ら立ってますよ！(ﾎﾞｿｯ) (2022年8月27日 17時) (レス) id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カキ x他1人 | 作成日時：2022年8月27日 16時
