49.ようこそグローバル社会へ ページ7
あれから数分と経たない内に空の旅に飽きた俺は、着陸までの時間のほぼ全てを睡眠に費やした。
飛行機が目的地に到着したのは出発から半日程経った頃だった。12時間何もできない空間に閉じ込められていたと思うと、ホンマに寝といて良かったって思う。
到着ロビーに入った瞬間、そこには早速信じられないような光景が広がっていた。
人間の姿をした夫婦がゴリラの赤ちゃんを抱っこしている。しかもその奥でベルトコンベアからトランクを取り出しているのは、アロハシャツを着た二足歩行のトカゲ。
日本では絶対にありえない出来事を目の当たりにし、俺達修学旅行生は早くも興奮状態だった。
「空港内ってスキン必須ちゃうん？」
「別にそんなこと無いっすよ」「？？」
ショッピくん曰く厳密に言うと必要らしいのだが、人に近い姿をしていたりそもそもスキンを持ってないなどという異種族は、許可を得ればそのままでもOKらしい。
前にこの空港で暴れた犯罪者達のようにスキンを持っていながら自ら変身を解く、などというのは完全にアウトなのだとか。
「この国に住む異種族は大体スキン持ってるんで、あの方々は多分外国からの旅行客っすね」
はぇ〜、と気の抜けた返事をして先へ進む。うわ、あのサラリーマンくしゃみで火ィ吹いとる。
「自分で聞いといて上の空やん…じゃあこっからちょっと面倒なんで、俺外で待ってますね」
そんな言葉と同時に再び肩の重みが消え、そこでようやく俺は我に返った。
────やばい、今並んでるの入国審査の列や。
てことは人と話さなあかんやん、全然考えてなかった。
どうしよ、アメリカ語とか全然できひんぞ俺。
意志を持った言葉である以上聞き取りは何とかなるけど、如何せんこっちが喋れへんのよな。
日本語通じんのかな…頼むから他種族であれ。
なんて考えている内にあっという間に列は進み、受付が目の前に。
じわりと滲む汗をぬぐい、審査官と対峙した。
「パスポートを見せてください」
ああそれなら…と素直にパスポートを差し出す。
聞き慣れへん言語やけど、まあええか。てかあの
そこから目的や滞在期間など色々答えたが、全て日本語でどうにかなった。
そして最後の質問になり、審査官はこう喋った。
「私の声、全部聞こえてました？」
日本語だった。ふざけんな。
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ハイド - 楽しく読ませていただきました！続き楽しみにしています！ (4月29日 8時) (
レス) @page30 id: 7c83359ee3 (このIDを非表示/違反報告)
カキ - マジあざす (2022年8月28日 11時) (レス) id: d29a1ef807 (このIDを非表示/違反報告)
れーれーれー - いつも読まさせていただいています！面白いので頑張ってください！……あと、お/り/ふ/ら立ってますよ！(ﾎﾞｿｯ) (2022年8月27日 17時) (レス) id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カキ x他1人 | 作成日時：2022年8月27日 16時
