50.ホントにいたんだもん ページ8
いきなりの母国語の登場に戸惑い、思わずはぇ？と間抜けな声が出る。
審査官は何度もパスポートと俺の顔を見比べ、パソコンに何かをカタカタと入力して顔を近づけていた。
何かやらかしたかもしれへん。ありもしない罪状が心の中で読み上げられていく。
いよいよ他の職員も参戦し始め、様々な他種族の言葉で「偽造」「不法入国」などと不穏な言葉が飛び交っていた。
逮捕後の弁明を考え始めていたその時、審査官が俺に再び声をかけてきた。
「失礼いたしました、パスポートをお返しします」
ええ…。
今度は素直に謝られた。無実と判断されたらしい。
どうやら審査官は植生族で、植物言語で人間の旅行客をおちょくるのが好きなのだとか。なんておちゃめなんや、クビにしろそんな奴。
パスポートを受取り、急いでその場を後にする。
同じ班の奴らと合流し、俺達はクラスメイト全員が集まるのを待った。
「あの人猫耳生えてる〜」「かわいい〜」
こうして見るとホンマに人外ばっかやな。
そんなことを思いながら歩いていると、前を歩いてくる通行人の男性とぶつかりそうになって思わず避けた。
すいません、と言おうとして振り向くと、その人もまたとても驚いた顔をしてこちらを見ていた。
「……？」
「…や、何でもないで。すまんな」
何かまずかったかと視線を送ったら、彼はそれだけ言って去ってしまった。
「颯真くーん」
同じ班の一人に呼ばれ、慌ててクラスメイト達の元へ戻る。
「すまん、人とぶつかりそうになってん」
「え、何もいなくなかった？」
「えっ」
周りが少しざわつく。
いやいやおかしいやん、絶対人おったって。確かに思い返してみると全身ちょっと透けてたかもしれへんけど。
ホンマ勘弁してくれ、俺ホラー苦手やねん。
多分他種族だろうというところで話を区切り、皆は各々のグループでの雑談に戻っていった。
いよいよ出口が見えてきた。
前回はここからやなくて駐車場から空港内に入ったから、実質我々国の街を見るのは始めてと言っても過言ではない。
空港を出ると、早速眼前に見慣れない風景が広がった。
うちの近所の住宅街とは比較にならない程高層のビル群に、色とりどりの屋根や装飾。道路の街灯には旗が一色ずつカラフルに吊るされている。
なんつーか、すげぇ大都会。
「今から向こうの広場に向かうので、そこで並んでくださいねー」
先生の指示に皆がぞろぞろと動き出す。
次の予定はたしか、街探索やったっけ。
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ハイド - 楽しく読ませていただきました！続き楽しみにしています！ (4月29日 8時) (
レス) @page30 id: 7c83359ee3 (このIDを非表示/違反報告)
カキ - マジあざす (2022年8月28日 11時) (レス) id: d29a1ef807 (このIDを非表示/違反報告)
れーれーれー - いつも読まさせていただいています！面白いので頑張ってください！……あと、お/り/ふ/ら立ってますよ！(ﾎﾞｿｯ) (2022年8月27日 17時) (レス) id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カキ x他1人 | 作成日時：2022年8月27日 16時
